HOME > 社会保険の知識 > 健康保険の知識

社会保険の知識

健康保険の知識

被扶養者の認定について
○ 被扶養者の認定基準

被扶養者として認定されるための条件のひとつである「主として被保険者の収入で生計を維持している状態」とは、次の基準をもとに判断されます。

○ 年収130万円未満が目安

対象となる人の年収が130万円(60歳以上の人又は障害者は、180万円)未満となっています。
未満で、被保険者の年収の半分未満であるときは被扶養者となります。

ただし、年収が被保険者の年収の半分以上であるが130万円未満で、被保険者の年収を上回らない場合には、その世帯の生計状況から総合的に考え、被保険者の収入がその世帯の中心をなしていると認められれば、被扶養者になれます。

○ 別居の場合は仕送り額で判断

被保険者である子などと別居している場合には、年収が130万円未満で、被保険者からの仕送額(援助額)より少ないときに被扶養者となります。

○ 生計維持関係判断の目安

被扶養者の認定は、以上の基準で行われますが、機械的にー律に適用するのではなく、その取扱いによると生活の実態とかけはなれるなど妥当性を欠く場合には、実情に応じた認定が行われます。

パートタイマーやアルバイトでも社会保険に加入できるか?

パートタイマーは、通常の従業員に比べて勤務時間が短い人、アルバイトは、勤務期間が限られている人をいいます。

パートタイマーであっても適用事業所との間に使用関係があり、その提供した労務の対償として報酬を受け次の条件に該当すれば、被保険者になります。

  1. 通常の従業員が勤務する所定労働時間の概ね4分の3以上で、かつ1ヶ月の所定労働日数の概ね4分の3以上であれば被保険者になります。
    例えば、1日の所定労働時間が8時間で、1ヶ月の所定労働日数が22日の会社ならば、1日の労働時間が6時間以上でかつ1ヶ月の所定労働日数が16日以上なら被保険者になる計算です。

  2. 上記の条件に該当した場合は、本人や会社の加入したい・したくないの意思にかかわりなく、自動的に加入させなければなりません。
健康保険の任意継続とは?
○ 健康保険の任意継続被保険者とは?

健康保険の被保険者期間が継続して2カ月以上ある人が退職した場合には、引き続き2年間は、
個人で健康保険の被保険者になることができます。

任意継続被保険者は、原則、在職中と同様に保険給付をうけられます。
保険料は会社負担分を本人が負担することになるので、現在支払っている健康保険料の2倍の
金額になります。(ただし、一定の最高限度額が定められています)
健康保険組合に加入していた場合も、退職後もひき続きその健康保険組合に任意加入できます。

○ 20日以内に手続を

健康保険任意継続被保険者資格取得手続きは、退職後20日以内にする必要があります。
1日でも手続きが遅れると加入できません。

従業員がケガ・病気で休業したときの手続き
○ 傷病手当金とは?

被保険者が業務外の病気やケガで仕事に就くことができず、会社から給与が受けられないとき、生活保障のために支給されます。

○ 次の3つの要件を満たしていることが必要です。
  1. 療養のため労務に服することができないこと。
  2. 療養のため労務不能の日が3日間連続していること。(待期期間)
  3. 給与を受けていないこと。
    (ただし、給与を受けていても、その額が傷病手当金の額より少ない時は、その差額が支給されます。)
  • 支給金額は、標準報酬日額の3分の2です。
  • 支給期間は、同一傷病につき支給開始の日から1年6ヵ月間です。
【待期期間について】
健康保険の「傷病手当金」を受け取るために必要な「待期期間の3日間」は、労務不能が要件です。

この要件を満たしていれば、有給・無給は問題にされません。仮に、欠勤開始日から3日間が、有給休暇だとしても待期は完成します。また、「公休日」も待期期間として認められます。

出産のときの給付(出産育児一時金、出産手当金)とは?
○ (家族)出産育児一時金とは

被保険者や被扶養者が出産(妊娠4ヶ月以上での死産も対象になります)したときは、
1児ごとに35万円が、(家族)出産育児一時金として支給されます。
正常な出産のときは病気とみなされないため、定期検診や出産のための費用は自費扱いになります。
異常出産のときは、健康保険が適用されますので療養の給付を受けることができます。
多生児を出産したときは、胎児数分だけ支給されますので双生児の場合は、出産育児一時金は2人分になります。

○ 出産手当金とは

被保険者(任意継続被保険者を除く)本人が出産で仕事を休み給料を受けられないときは、出産(予定)日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日後56日までの期間、欠勤1日につき標準報酬日額の3分の2が受けられます。

死亡のときの給付(埋葬料(費)、家族埋葬料)とは?
○ 埋葬料の支給

被保険者が死亡したときは、被保険者によって生計を維持した者で埋葬を行う者に対し、
埋葬料として5万円支給されます。

○ 埋葬費の支給

埋葬料の支給を受ける者がいないときは、埋葬を行った者に埋葬料の金額の範囲内(上限5万円)で
埋葬費用の実費を埋葬費として支給する。

○ その他埋葬料に関する取扱
  1. 自殺であっても支給対象になります。
    埋葬料は葬祭を行う者に支給する性格が強いためです。
    生計維持は、被扶養者の場合における主たる生計依存とは異なり、家族、親族、遺族もしくは
    他人であっても、何らかの扶養関係が存在すればよい。
  2. 埋葬費は、現実に埋葬を行った者に、実費額が支給されるもので、埋葬に要した費用とは、
    童枢車代、霊前の供物代、僧侶の謝金、火葬料・骨箱代のようなものをいう。
○ 資格喪失後の埋葬料(費)

退職後3ヵ月以内、傷病手当金、出産手当金を受けている間、または受けなくなって3か月以内に死亡したと
き受けられます。

○ 家族埋葬料

被扶養者が死亡したときは、被保険者に対して5万円の家族埋葬料が支給されます。

高額な医療費を支払ったとき
○ 高額療養費制度とは

重い病気などで病院等に長期入院、又治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。
そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
ただし、特定療養費の差額部分や入院時食事療養費は支給対象にはなりません。

○ 所得区分
区分 所得の内容
上位所得者 健康保険 標準報酬月額が 53 万円以上の被保険者及びその被扶養者
国民健康保険 基礎控除後の総所得金額が 600 万円を越える世帯
低所得者 健康保険 生活保護の被保険者や市町村民税非課税世帯などの方
国民健康保険
一般 健康保険 上記以外の場合
○ 高額療養費の支給(70歳未満の場合)

1ヶ月の一部負担金が自己負担限度額を越えた場合、越えた分が健康保険等から
高額療養費として支給されます。
限度額は、所得区分に応じて設定されています。

区分 自己負担限度額(高額療養費算定基準額)
上位所得者 算定基準額 150,000 円+(医療費− 500,000 円) ×1%
合算対象 21,000 円以上
多数該当 83,400 円
一般 算定基準額 80,100 円+(医療費− 267,000 円) ×1%
合算対象 21,000 円以上
多数該当 44,400 円
低所得者 算定基準額 35,400 円
合算対象 21,000 円以上
多数該当 24,600 円
合算対象
同一保険・同一世帯内で1ヶ月に合算対象基準額(21,000円)以上の自己負担額が
複数あるときは、合算して自己負担限度額を越えた分が高額療養費として支給されます。
多数該当
高額療養費の支給回数が、1年間で4回以上になる場合、4回目以降は
自己負担限度額が軽減されます。
特定疾病
血友病や人工透析の必要な慢性腎不全で長期療養の必要な人については、
自己負担金が10,000円(上位所得者は20,000円)を超えた場合、その超えた額が支給されます。
※上位所得者:標準報酬月額が53万円以上である70歳未満の被保険者、または、標準報酬月額が53万円以上の被保険者に扶養される70歳未満の被扶養者
○ 高額医療費の支給(70歳以上の場合)

高齢者の方の負担が重くなり過ぎないよう、外来、入院とも1ヶ月に支払う自己負担額には上限が設けられています。
入院費用は、自己負担限度を超えたら、それ以上病院窓口での支払はありません。
(高額療養費該当分は現物給付として支給されていますので、現金での支給はありません)

所得区分 個人ごとの外来自己負担の限度額 自己負担限度額
(外来+入院)
一定以上の所得がある方
標準報酬月額が28万円以上
年収520万円以上
44,400 円
80,100 円+(医療費が 267,000 円を越えた場合は越えた分の 1 %)

過去12ヶ月間に4回以上高額医療費の支給があった場合、4回目以降は 44,400 円
一般の方
12,000 円
44,400 円




II
世帯員全員が
住民税非課税の方
8,000 円
24,600 円
I
世帯員全員が住民税非課
税であって、世帯の所得が一定の基準以下の方
8,000 円
15,000 円
その他
血友病や人工透析の必要な慢性腎不全で長期療養の必要な人については、自己負担金が10,000円を超えた場合、高額療養費が支給されます。