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社会保険の知識

労働基準法の知識

労働者を採用するときの注意(労働契約)

労働契約とはどんなものか?

○ 労働契約は、労働者と使用者間の権利と義務を取り決めたもの

会社が社員を採用するにあたっては、面接で労働条件を提示し、
入社を希望する人との話し合いによって労働条件を決定します。

労働契約はこの両者の合意によって、使用者と労働者との労働関係が生まれるとともに、
労働契約が成立します。

この労働契約は、口頭でも文書でもかまいません。
しかし、口約束は後々トラブ ルの原因になりかねませんから、労働契約書や雇用契約書など文書によって、双方の権利義務を明確にしておいたほうがよいと思います。

平成11年4月1日より労働条件の重要項目に関しては、書面交付が義務づけられました。

○ 契約期間の制限

雇用期間を設定しない終身雇用が一般的に行われていますが、労働契約を結ぶ際に
雇用期間を定める場合は、3年以内の期間としなければなりません。
 ※ただし、有期労働契約を締結した労働者は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後において
 は、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます(暫定措置)。
土木工事などの有期事業の場合は、3年を超えて事業の終了時までの契約期間とすることができます。

平成16年1月1日より、下記に該当する労働者に労働契約期間の上限が延長されました。

新商品、新技術の開発等の業務や新規事業の展開などのプロジェクト業務に必要な
高度の専門的な知識等を有する者を新たに雇い入れる場合や60歳以上の者を雇い入れる場合の
期間の定めのある労働契約について、その期間の上限は5年です。

○ 労働契約には労働条件の書面により明示が必要

労働契約の締結に際し、使用者は、次の事項について書面の交付により労働者に
明示しなければなりません。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  3. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに
    就業時転換に関する事項
  4. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期に関する事項
  5. 退職に関する事項

トラブル防止のためにも、必ず労働条件を書面で交付して下さい。

従業員を解雇するときの注意
○ 解雇制限と解雇予告とは?
  1. 業務上の負傷、出産の場合一定期間解雇できない。
  2. 解雇する場合には、30日以上前に解雇の予告をするか、解雇予告手当の支払いが必要。
○ 解雇制限(解雇してはいけない場合)

使用者は、労働者が業務上負傷しまたは疾病にかかり療養のために休業する期間とその後の30日間、ならびに産前産後の女子がいわゆる産休によって休業する期間とその後の30日間は、労働者を解雇してはならない。

○ 解雇予告と解雇予告手当の支払

使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をするか、あるいはこれに代えて、30日分以上の平均賃金を支払うかしなければならない。
ただし、予告の日数は、一定日数について解雇予告手当を支払うならば、その分だけ短縮されることになる。たとえば、30日前の予告を必要とするところ、そのうちの20日について解雇予告手当を支払った場合には、10日前に予告すればよいことになる。

就業規則は、作らないとダメか?
就業規則の作成義務とは?
  • 10人以上の労働者がいる場合作成義務がある。
  • 労働者の代表者の意見書を添付して監督署へ届けなければならない。
  1. 就業規則の作成しなければならない場合
    常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について、就業規則を作成し、
    これを遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
    これを変更した場合も、同様である。
  2. 作成手続
    使用者は,就業規則の作成または変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する
    労働組合がある場合にはその労働組合、そのような組合がない場合には労働者の過半数を
    代表する者の意見を聴かなければならない。
    また、所轄労働基準監督署長への届出にあたっては、この意見を記した書面を
    添附しなければならない。
  3. 就業規則の周知義務
    使用者は、このようにして作成された就業規則を、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、
    または備えつけるなどの方法によって労働者に周知させなければならない。
割増賃金はどんなときに支払うのか?

割増賃金はどんなときに支払うのか?

  • 残業25%、休日25%、法定休日35%、深夜25%増しの割増賃金が必要
  • 残業が深夜におよんだ時は、25%+25%=50%増しの割増賃金が必要
○ 法定外の労働時間や法定休日の労働には、割増賃金を支払が必要

労働基準法では、次に該当するときに、通常の賃金に一定の率で割増した額を支払うよう定めています。

36協定により法定の労働時間を延長し、または法定の休日に労働させたとき、深夜に労働させたとき
非常災害の場合に、法定の労働時間を延長し、または法定の休日に労働させたとき
また就業規則の定めにしたがって休日の振替手続きをし、法定休日に労働させても割増賃金を支払う必要はありません。

○ 割増賃金の計算方法

割増賃金は、基礎となる賃金の額、割増の率と時間外および休日労働した時間数をそれぞれ乗じて計算されます。
基礎となる賃金は、通常支払われる賃金の総額を所定の労働時間数で除して得た額となります。
つまり、1時間当りの賃金の額を算出するわけです。
賃金の総額からは、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当の四つの手当と、結婚手当など臨時に支払われる賃金、賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除外されます。

住宅手当の解釈。

○ 賃金に割増する率

時間外労働した時間に対しては2割5分以上の率
休日労働した時間に対しては3割5分以上の率
時間外労働が引き続き深夜におよぶときには5割以上の率
休日労働が引き続き深夜におよぶときには6割以上の率で計算します
所定労働時間が当初から深夜時間に組み入れられているときには、2割5分上の率で計算します。
休日労働のときに8時間を超えて時間外労働となった場合は、時間外分については3割5分以上の率でかまいません。(深夜労働がない場合)
1日にニつ以上の会社で労働する場合は、1日の通算した労働時間のうち、法定の8時間を超える時間を計算対象とします。

年次有給休暇について(付与日数)
○ 年次有給休暇をもらうための条件と請求時期
  • 6ヵ月継続勤務し、全労働日の8割勤務のとき10日。
  • それ以後1年ごとに1日を加算、4年後からは2日を加算し最高20日まで
    (平成11年4月1日改正)
○ 年次有給休暇をもらうための条件

入社後6か月間継続勤務と全労働日の8割以上出勤をして翌年度に10日与えられる。
それ以後は、1年間会社に継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者に対して、翌年度に1労働日が加算され支給されます。(4年後からは2日を加算)

つまり、6ヵ月目で10日、1年6ヵ月目で11日、2年6ヵ月目で12日・・4年6ヵ月目で16日・・・
と増えていき、最高20日までもらえます。

一般の労働者

継 続 勤 務 年 数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5 7.5 8.5 9.5 以上
付与日数 平成 11 年度 10 11 12 14 15 16 17 18 19 20
平成 12 年度 10 11 12 14 16 17 18 19 20 20
平成 13 年度以降 10 11 12 14 16 18 20 20 20 20
○ 有給休暇の繰越について

前年度に消化できなかった有給休暇は、翌年度に限り繰越が可能です。
たとえば、前年度の有給休暇20日を1日も消化出来なかった場合は、当年度に繰越ができ、当年取得分の20 日に前年の20日を加算した40日の有給休暇を取得できます。

○ 有給休暇を勝手に取ってもいいか

年次有給休暇は、労働者が請求したときには指定された日に与えなければなりません。
逆に、労働者から請求がなければ、会社が年休を与えなくても労働基準法違反にはなりません。
基本的には労働者が年休を取りたいと思ったときに、自由に請求して会杜を休むことができます。

○ 時季変更権とは

会社は、労働者の年休請求を拒否することはできません。しかし、たとえば、労働者が年休を指定した日が年末などとくに業務繁忙な時期であったり、同じ時期に多くの人の請求があって全員に与えることが困難な場合があります。

このように事業の正常な運営を妨げるおそれがある場合には、会社は指定された年休の時季を変更することができます。この時季変更権は、労働者の年休請求と会社の業務運営を調整する役割を担っています。

したがって、会社の時季変更権というのは、労働者の年休請求を拒否するものではなく、業務に支障をきたさなぃ時季を逆に労働者に提示して、年休の取得日を変更してもらう手段に過ぎないのです。

パートタイマーの有給休暇について

所定労働時間が短い者に対する年次有給休暇の比例付与日数について

平成13年4月1日から、所定労働時間(日数)が短い者に対する年次有給休暇の比例付与日数が変わります。(下表参照)

労働時間の短い労働者(パートタイマー等)には、1週間の所定労働日数や1年間の所定労働日数により、
下記の表に基づいて有給休暇を与えなければならない。

週所定
労働日数
1年間の
所定労働日数
雇入れの日から起算した継続勤務期間
6ヶ月 1年
6ヶ月
2年
6ヶ月
3年
6ヶ月
4年
6ヶ月
5年
6ヶ月
6年
6ヶ月以上
4日 169 〜 216 日 7 日 8 日 9 日 10 日 12 日 13 日 15 日
3日 121 から 168 日 5 日 6 日 6 日 8 日 9 日 10 日 11 日
2日 73 〜 120 日 3 日 4 日 4 日 5 日 6 日 6 日 7 日
1日 48 〜 72 日 1 日 2 日 2 日 2 日 3 日 3 日 3 日

※週所定労働時間が30時間以上の労働者や週の所定労働日数が5日以上の労働者には、一般労働者と同様の有給休暇を与えなければならない。

年少者を使用する場合の注意
○ 年少者には労働時間・業務内容の制限がある
  • 労働可能年齢は、原則満15歳以上。
  • 労働時間・休日、深夜労働などの制限もある。
  • 危険・有害業務・坑内労働が禁止されている。
○ 労働可能年齢は、満15歳以上が原則

満15歳に満たない者を、労働者として雇用することはできません(満15歳未満の者を児童、満18歳未満の者を年少者といいます)。
しかし、例外的に満12歳以上の児童については、非工業的業種に限って下記の条件を満たせば労働させることができます。(非工業的業種とは、製造業、鉱 業、土木建築業、運送業、貨物取扱業を除く業種のことです。)

  1. 児童の健康と福祉に有害でなく、かつ軽易な業務であること
  2. 労働について労働基準監督署長の許可を受けること
  3. 労働時間が学校の授業時間外であること

許可の手続きは、使用許可申請書に児童の年齢を証明する「戸籍証明書」と、就学に支障がないことを認める「学校長の証明書」と、親権者または後見人の「同意書」を添付して、所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。

○ 時間外労働などの制限

満18歳未満の年少者には、変形労働時間制も36協定による時間外・休日労働も認められていません。さらに、事業の特殊性による労働時間や休憩の特例も認められません。
年少者には、厳格に1日8時間1週40時間が求められています。ただし、満15歳以上の年少者の場合は、1日の労働時間を4時間以内に短縮することを条件として、法定労働時間の枠内で他の日に10時間まで延長することができます。なお、非常災害による場合には、時間外または休日労働が可能です。

○ 深夜労働の禁止

年少者には、健康上また福祉の面からも深夜労働はとくに有害ですから、午後10時から午前5時までの間に労働させることは禁止されています。
また満15歳未満の児童にとっての深夜時間は、一般的に長く午後8時から午前5時までの間となっています。

○ 危険・有害業務および坑内労働の禁止

年少者は、発育過程にあって体力に限らず危険や有害物への知識が不十分なため、安全および衛生、福祉の面からも保護しなければなりません。
そこで、就業が制限される業務も、重量物の取扱いをはじめ、有害薬品の取扱いや酒席での接客業務など45を超える種類になっています。
また、年少者の坑内労働は禁止されています。ただし、職業能力開発促進法にもとづいて、企業内職業訓練を実施する場合に限り認められています。

夜間勤務の仮眠時間の取扱い

【質 問】
私は警備の仕事(社員)をしておりますが、ガードマンの夜間勤務の場合、
仮眠時間の部分は給与の計算に含まれるのでしょうか?

【回 答】
質問の主旨は、夜間勤務で始業・終業の時間が決まっており、勤務時間として
拘束されているので、仮眠時間も労働時間となり、賃金の支払い義務が会社に発生するのでは
ないかという内容だと思われます。

夜間の睡眠時間(仮眠時間)に関しては、
「夜間継続4時間以上の睡眠時間は、労働基準法第34条にいう休憩時間として取り扱って支障ない。
また、それが深夜にわたる場合であっても深夜割増賃金を支払う必要はない。」
という、労働基準局の通達がありまして、労働時間とはみなさないので、賃金の支払い義務は発生しません。しかし、最近の判例では完全に労働から解放されない仮眠時間は労働時間とするとなっております。

この通達を解釈する限り、4時間未満の仮眠の場合は、休憩時間ではないので、拘束時間(労働時間と考えてよい)となり賃金の支払い義務と、深夜割増手当(午後10時から午前5時まで)の支払が発生するのではないかと解釈できます。(※労働から完全に解放されている仮眠の場合)

※つまり、仮眠時間が4時間あるかどうか、労働から完全に解放されているかにより判断することになります。

現在の法定労働時間は何時間ですか?
法定労働時間について

原則として休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間以下となっております。
ただし、労働者数10人未満の商業、映画・演劇業、保険衛生業及び接客娯楽業は1週44時間以下となっております。

※上記の労働時間を超えた場合には、時間外割増手当の支払いが必要です。

週40時間労働制と特例対象の区分一覧表

業種/規模 10 人以上 1 〜 9 人  
製造業 40 40  
鉱業 40 40  
建設業 40 40  
運輸交通業 40 40  
貨物取扱業 40 40  
林業 40 40  
商業 40 44 下表を参照してください
金融広告業 40 40  
映画・演劇業 40 44 下表を参照してください
通信業 40 40  
保健衛生業 40 44 下表を参照してください
接客娯楽業 40 44 下表を参照してください
清掃・と畜業 40 40  
その他業種
(農業、漁業・水産・畜産業を除く)
40 40  

特例措置対象事業場とは次に掲げる業種に該当する
常時10人未満の労働者を使用する事業場です。

商業 卸売業、小売業、理美容、倉庫業、その他の商業
映画・演劇業 映画の映写、演劇、その他興業の事業
保健衛生業 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
接客娯楽業 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業
時間外労働や休日労働をさせるには手続が必要

時間外労働や休日労働には、三六協定の締結・届出が必要

時間外労働や休日労働をさせるには、書面により労使協定を締結し、それを事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出なければなりません。(三六協定という)

○ 労使協定をしなくてはならない事項は、次に掲げる項目です。
  1. 時間外労働や休日労働させる必要のある具体的事由
  2. 業務の種類
  3. 労働者の数
  4. 1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日
  5. 協定の有効期間
休憩時間は最低何分与えることが必要ですか?
○ 休憩時間は最低何分与えることが必要ですか?

労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、労働時間が8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えることが必要です。

※労働時間の最初や最後に与える事はできません。(労働時間の途中に与える事)
つまり、9時始業の場合に、9時から30分の休憩を与えるなどは出来ません。
払をする額
立替払の額は未払賃金総額の100分の80です。ただし、未払賃金総額が下表の退職日及び退職日における年齢の区分に応じた未払賃金総額の限度額を超える場合は、当該限度額の100分の80となります。
賃金の支払の確保等に関する法律施行令に基づく限度額

時間外労働の限度に関する基準はあるか?
長時間にわたる時間外労働の抑制について

労働大臣は、いわゆる36協定において定める労働時間の延長の限度等について労働者の福祉、時間外労働の動向等を考慮して基準を定めることができます。
36協定の内容は、この基準に適合したものとなるようにしなければなりません。

○ 基準の概要は次のとおりです。

● 時間外労働の限度に関する基準

  1. 労働時間を延長する必要のある業務の範囲を細分化することにより明確にしなければならないこと。
  2. 1日についての延長時間のほか、1日を超え3か月以内の期間及び1年間についての延長時間を定めなければならないこと。
  3. 延長時間は、次の表の左の欄の「期間」の区分に応じて、右の欄の「限度時間」を超えないものとしなければならないこと。
a. 一般の労働者の場合 b. 対象期間が3か月を超える1年単位の
変形労働時間制の対象者の場合
期間 限度時間 期間 限度時間
1 週間 15 時間 1 週間 14 時間
2 週間 27 時間 2 週間 25 時間
4 週間 43 時間 4 週間 40 時間
1 か月 45 時間 1 か月 42 時間
2 か月 81 時間 2 か月 75 時間
3 か月 120 時間 3 か月 110 時間
1 年間 360 時間 1 年間 320 時間

ただし、特約事項を附記する事により、上記の時間を超えて労働させる事も可能。

適用除外
次の事業又は業務には、上記の限度時間は適用されません。
( 1 ) 工作物の建設等の事業
( 2 ) 自動車の運転の業務
( 3 ) 新技術、新商品等の研究開発の業務
( 4 ) 厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務
    (ただし、 1 年間の限度時間は適用されます。)
    (具体的な指定事業又は業務は、労働基準監督署にい合わせください。)
給料から親睦会費や旅行積立金などを控除してよいか?

原則として給料から、親睦会費、旅行積立金、食事代、寮費など控除はできません。
しかし、労使の書面協定があれば控除することが可能です。

労使協定なしに控除が認められるのは、法律で源泉控除が認められている、社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税などです。

年次有給休暇の買い上げをしても法律違反にはなりませんか?

労働基準法では、有給休暇の買い上げは禁止されております。
労働基準法では、「有給休暇を与えなければならない。」と規定されていますので、金銭を支給しても与えたことにはなりません。また、買上げの予約をして請求できる年次有給休暇日数を減らしたり、請求された日数を与えないことはできません。
ただし、法を上回る日数の年次有給休暇についてはこの限りではありません。